鼻の赤みが、酒さだとは気づかなかったせいで対処が遅れてしまった
鼻か赤い。わたしが気づいたのは、朝、鏡を見たときでした。「いやだな~」と思いながらも、この時は、酒さだとは全く頭に浮かびませんでした。思い当たるどころか、わたしは「酒さ」なんて病名自体を言葉として知らなかったのです。わたしが気にしなかった理由はもう一つあります。前日、鼻がむずがゆかったので、ポリポリと掻いていた記憶があったからです。鼻の頭がかゆいことなんてしょっちゅうある話です。でも、気にしだすと、ついかゆいような気がして掻いてしまうのが鼻。せっかくファンデーションでなんとか隠しても、つい掻いてしまうものだから、仕方なくマスクをして会社に出ていきました。
それから数日間、一向に鼻の赤みは収まることなく、むしろより濃い色になっていったものの、わたしは「搔いてしまうから赤くなる」という認識でしかありませんでした。
鼻から頬に広がっていく酒さ
一週間か、10日ほど経過したころだと思います。両頬の出っ張り部分が酔っぱらって紅潮したかのように赤みを帯び始めたのは。このころのわたしは、アレルギーを疑い始めていました。ちょうど3月で花粉の季節だったため、テレビでは連日天気予報で花粉注意報を流していた時期です。わたしは花粉症は無かったものの、ついに自分もかかったかなと思い、その週の土曜日、耳鼻科へ行ったのですが。
酒さという病気との対面
耳鼻科では、鼻の奥まで検査してくれましたが、アレルギーの症状は一切無いとの診断結果でした。あわせてアレルギー診断もしてもらったのですが、陽性物質は無し。医師の口から出たのは「酒さかもしれませんよ」。そのときはじめて「酒さ」という病名を耳にしました。「しゅさ」と聞いても、どのような漢字を書くのかも思いつかない有様です。医師からは、皮膚科で見てもらうことを勧められました。
酒さという病気の難しさ
皮膚科に行って驚いたのは、「酒さ」という病気を断定する手段が無いということです。鼻と頬が赤らむ他の症状を虱潰しに検査していって、すべてが陰性だった場合に、はじめて「酒さ」と断定されるのです。世の中には、未知の病気がいくらでも存在します。ほかの疾病ではないから「酒さ」。そんな理屈が納得できない一方、酒さでも何でもいいから、早く顔の赤みを無くしたいという一心で治療法を尋ねて更にわたしは驚きました。「酒さは、原因不明で決定的な治療方法が無い」。ハンマーで後ろ頭を叩かれたような衝撃でした。このまま一生、トナカイみたいな赤い鼻のままなのか、表現のしようが無い不安と絶望感に見舞われているわたしに医師が追い打ちをかけるように言ったのは「鼻だけだった時に治療を始めれば、もっと軽く済んだかもしれないのにね」。あんな鼻の赤み程度で「酒さ」なんて病気を思いつく人がいるでしょうか。あまりに無神経で残酷な言葉にわたしは声を失いました。
結局、救われたのはネットの情報
それから皮膚科通いが続きましたが、一向に良化せず、皮膚科の医師は聞く耳を持ちませんでしたが、ネットで出ている酒さの体験記事に出ている方法を片端から試しました。試した美容液とサプリメントの数は日に日に増えていき、毎日8種類もの美容液でマッサージし、12種類ものサプリメントを日に2回服用していました。でも、その甲斐あって、ある時期からいきなり鼻と頬の赤みが引いていったんです。
これがわたしの今の鼻と頬です。
いまでこそ、鼻の形は普通ですが、ひどかったときはボコボコでした。鏡を見て、何度も泣きました。
どの美容液、あるいはどのサプリメントが効いているのかわかりませんが、今の数を減らして再発させることだけはできないので、特定する気はありません。
でも、赤みが引いていった順が、頬から鼻だったので、症状が出た早い段階で手を打った方が治りは早かったのだろうと思います。
酒さは、とにかく悲惨です。「もしかして」と思ったら、早めにケアすることをお勧めします。酒さは顔のことだけに深刻な病気である反面、命にかかわらないせいで医学的な研究があまり進んでいないと思います。