酒さの赤ら顔で悩む人は多いのに専門医という医師は見当たない
欧米と違って、日本では医師免許を取れば、皮膚科でも、外科でも、内科でも、あらゆる分野の医師になれてしまいます。そんな中で、専門医制度が導入されていますが、酒さについては専門医が存在しないのが現状です。ここでは酒さの赤ら顔治療で専門医が存在しない理由について、わたしが調べて驚いたことをご説明します。
専門医の条件
専門医になるには、厚生労働省が定めた規定を満たす必要があります。
その規定とは、分野によっても異なりますが
- 決められて年数の間、対象の学会に所属する。
- 所定の研修を修了し、認定機関で所定年数以上の勤務実績がある
- 定められた本数の論文を発表する
の3つを満たすことが課せられています。この点を頭に入れて調べていくと、驚くべき実態が判明します。
日本には、酒さの学会が存在しない
欧米には酒さの患者が多いため学会が存在するのですが、アジア圏では人口比率から見た酒さの患者は圧倒的に少ないため、専門の学会が存在しません。酒さは皮膚学会やアレルギー学会の一部で取り扱われているだけです。このため、所属しようにも学会が存在しないので、厚生労働省の規定を満たすことが無理なのです。
たとえば、この画像は眼科の専門医の認定証ですが、「日本眼科学会」が発行しています。このように専門医の資格は、専門の学会が認定して授与するため、酒さのように、専門の学会が存在しない分野では専門医が誕生できない仕組みになっています。
酒さの認定機関も存在しない
これももうお分かりになるでしょう。学会が存在しないのと同様に、酒さには認定機関がありません。この点は、もっと根深いものがあり、酒さは原因が不明なため、根拠を持った医学的治療方法が無く、学術的に成り立たないので、医師が何かのスキルを身に付けるにしても、学ぶべき医療技術が特定できないのです。このため、認定する根拠がありません。
酒さについては論文が出しにくい
学会や認定機関が無くても、皮膚学会や、内科系の学会、あるいは美容整形の分野で論文自体は発表が可能だそうです。しかしながら、医学系の論文では、その効果を明示するために、ある程度の被験者数が必要になります。つまり、一人の患者で効果があったからといって、それを学術的に議論することはできないため、最低でも5人は必要だそうです。
学会の世界では、論文は業績になります。一本の論文を仕上げるために、何年もの研究と実験が必要なため、多くの医師は結果が出やすい領域に集中するそうです。この点、酒さについては、どこから手を付けるべきかの方針が難しく、何年も実験した結果、いかなる変化も見られずに徒労に終わってしまう可能性が非常に高いため、業績面から無駄になる可能性が高い研究はあまりしたくないと言うのが医師の本音のようです。
また、酒さはマウスなどの実験動物で再現する方法が見つかっていないのも大きな困難となっています。人体で実験できる範囲は、安全性面から限られます。このため、ガンをはじめとした多くの疾病は、遺伝子操作をして実験的にその病気を作り上げたマウスで行われるのが常ですが、酒さについては実験用マウスの作製ができていません。このため、様々な薬理的実験を使用にも、検体が人間しかいないので、大した実験ができないことが医療技術の大きな足かせとなっています。
もし「わたしは酒さの専門医です」という医師がいたら
最近では、酒さに限らず、多くの医療問題が発生しているのはご存知の通りです。もし、酒さの赤ら顔で悩んでいて、「わたしは酒さの専門医です」という医師に出会ったら、「専門医の認定証を見せてください」と確認することをお勧めします。なぜなら、現時点で、日本に酒さの専門医は存在しませんから。